乳がんにはさまざまなタイプがあるのですが、近年よく耳にするのが「トリプルネガティブ」という言葉。トリプルネガティブというタイプもあるんだ、ということが認識されたのは記憶に新しい部分でもあります。
トリプルネガティブ、という乳がんのタイプは難しい、という話はよく聞きますが、実際にどういった部分が難しいのかわからないこともあります。
今回はトリプルネガティブ乳がんについてお伝えします。
トリプルネガティブ乳がんとは
乳がんには、5つのサブタイプがあります。サブタイプというのは、簡単に言うと乳がんの性格です。
・ ルミナールB(HER陰性)
・ ルミナールB(HER陽性)
・ HER2型
・ トリプルネガティブ
トリプルネガティブは、さらに分類される
トリプルネガティブはそれだけのものではなく、6種類に分類されています。
・ basal-like 2 (基底細胞様2)
・ IM (免疫調節系)…髄様がん
・ M (間葉系)…紡錘細胞型、扁平上皮型、骨軟骨型、その他に分類されるもの
・ MSL(間葉系幹細胞様)…Mの中でも悪性度が低い
・ LAR(管腔アンドロゲン受容体)…ルミナールタイプの乳がんに近い
トリプルネガティブ乳がんは治療が難しい訳
トリプルネガティブ乳がんは、
・ プロゲステロン受容体
・ HER2の過剰発現
トリプルネガティブは、どのような治療を行っていくのか
トリプルネガティブと診断された場合であっても、基本的には他の乳がんと同じように治療を進めていきます。
腫瘍の大きさや性質によって、温存をするのか全摘出をするのか、そして術前に抗がん剤などの化学療法を行うのか術後に行うのか、などを医師と相談しながら決めます。
トリプルネガティブの場合は、ホルモン剤の服用などは行わないため手術や抗がん剤を使用しての治療となっていきます。
抗がん剤の薬剤に関しても、トリプルネガティブのタイプによって異なってきますが、使用されることの多いものは、タキサン系やアンスラサイクリン系、エンドキサン等となっています。
手術を行ったり、抗がん剤を使用した後は無治療となることが多いのもトリプルネガティブ乳がんの治療として特徴的な部分と言えますね。
すべてのトリプルネガティブに抗がん剤が効くわけではない
トリプルネガティブ乳がんは、抗がん剤しか方法がないとされています。ですが、実際には、
・ もともと予後が良好で抗がん剤が必要ないタイプ
・ 抗がん剤の効果が乏しい予後不良タイプ
トリプルネガティブ乳がんの中でも、予後が良いとされるものの代表に髄様がんがあり、予後があまりよくないものに、紡錘細胞型や扁平上皮型、骨軟骨型やその他に分類されるものがあります。
ですが、他の乳がんに比べてできる治療法が限られているため、抗がん剤が効きにくいということは、非常に厳しいと感じる部分でもあります。
まだまだ解明されていない部分が多いのもトリプルネガティブ乳がんの特徴です。
トリプルネガティブの生存率は
乳がんは女性がなるがんの中で、1位となっていますが、死亡率に関しては1位ではありません。乳がんは他のがんに比べて予後が良いので、そのような結果になっています。
生存率に関しては大変気になるところではありますが、病院では明確に提示しないことが多いです。
トリプルネガティブは確かに予後は悪い部類に入りますが、生存率を見る場合は、トリプルネガティブとして見るよりも、乳がん全体として見ることが多いためです。
トリプルネガティブは進行が早いこともあるので、気が付いた時にはすでにしこりが大きかったり、転移をしていたりするため、進行度が上がってしまい生存率も低くなっています。
ですので、日ごろから自分の乳房に関心を持ち、異常があったり不安なことがあったりした場合は早めに受診することが大切になってくるのです。
様々な研究がされているトリプルネガティブ
トリプルネガティブ乳がんは若い人がなりやすい傾向にあります。ですが乳がん全体から見ると割合的には少なく、情報もまだまだ乏しいです。
日々様々な情報が更新され、新薬も出てきています。「トリプルネガティブ」という言葉をネガティブにとらえず、通常の乳がんと同じととらえ、特別視しないことも大切になってきますね。