意外と知らない病院からもらう「領収書」。領収書はじっくり見るとおもしろい

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病気などで病院にかかったり、調剤薬局で薬をもらったりすると、必ずもらうのが領収書と明細書です。
なぜもらうのかというと、

どういった治療を行ったのか、その治療はいくらかかったのか、ということについて書かれたものを交付しなくてはならない

と、国の指定で義務づけられているためです。

請求金額ばかりに目がいってしまいますが、キチンと見ることで治療にどのくらいの費用がかかったのかが見えてくるので、自分の病気についても、いくらかかったのかがわかっておもしろいんですよ。

今回は基本的な医療領収書の見方をお伝えしますね。
ぜひ、計算してみてください!

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病院でもらう領収書の基本的なしくみ

では、実際にどのような領収書なのか見ていきましょう。

点数は、何を指している?

よく言われる点数は「診療報酬点数」を指しています。
診療報酬点数は、医療行為に対して計算される報酬のことで、厚生労働省が定めた「診療報酬点数表」によって、全国すべて一律で決まっています。

つまり、同じ病気で同じ診察を受けていれば、基本的には全国どこでも医療費は同じ、ということになります。

この診療報酬点数は、医科、歯科、調剤の3つにわかれていて、さらに詳しくそれぞれの項目に関して決められています。
2年ごとに見直しがされており、2018年は見直しの年でした。そのため過去と点数が違っていることもあるのです。

自分が窓口で支払う医療費の領収書を見てみよう

病院によって、書かれている区分などが異なります。ですが、基本なことは共通していて、

医療費の総額は、点数×10円という計算によって出されています。つまり、1点が10円です。

この金額に自分が負担している負担割合を乗じると窓口で支払われる金額が出てきます。

例えば、診察料の点数が270点とします。本来の医療費は270(点)×10(円)=2700(円)。

この金額は保険がまったく考慮されていない金額であるので、ここに自己負担割合を乗じます。大体の場合3割負担だと思います。

3割負担の場合、2700(円)×0.3(3割負担)=810(円)

診察料に関しては、810円を窓口で支払うようになるのです。

点数に10円をかけて、そこに割合をかけたものが本当の医療費。
例)診察料が270点の場合270(点)×10(円)=2700(円)。
ここに、自己負担割合をかけます。
2700(円)×0.3(3割負担)=810(円)。
810円が窓口で支払う医療費になります。
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さまざまなことが書かれている医療領収書の項目

領収書をよく見ると細かい項目が多く書かれています。

保険がきくもの

領収書の項目
初・再診料 初診であるか、再診であるかによって点数がかわってきます。休日や時間外によっても点数に変動があります。医師の診察を受けていない、検査のみといった場合は点数はかかってきません。
入院科など 入院にかかった基本料金。病棟の看護師の数や病床の種類、入院期間によって変わってきます。
医学管理等 計画に基づいて指導や管理が行われた場合にかかります。
在宅医療 往診、訪問診療、訪問リハビリテーションなど医師や看護師といった医療スタッフが自宅に訪問して行った医療に関してかかる費用。
検査 血液検査や尿検査、腫瘍マーカーや心電図、といった検査にかかる費用
画像診断 マンモグラフィやレントゲン、CT,MRIといった画像診断にかかる費用
投薬 薬を処方してもらった、入院中薬を使用したという場合の費用
注射 点滴や動脈注射など注射に関する費用
リハビリテーション 理学療法士といった専門家によるリハビリにかかった費用
精神科専門療法 精神科で医療を受けた時にかかる費用(外来だけでなく、入院に関してもここに書かれます)
処置 包帯やガーゼの交換、透析、たんの吸入、傷の手当など処置にかかる費用
手術 手術にかかる費用
麻酔 痛みをとったり、緊張をほぐしたりするために使われた麻酔費用や手術で使った麻酔の費用
放射線治療 放射線を使用した際にかかる費用
病理診断 体から採取した組織や細胞を調べ、診断をしたり標本を作ったりする費用
診察群分類(DPC) 入院医療費の包括評価の計算のこと。ひとつの病名に対して入院診療を行うことを前提とした制度。入院費を算定する方式
食事療養 入院中の食事に関する費用。円で記載されていることが多いです。
生活療養 65歳以上で、長期入院した場合の食事や光熱水費。所得によって金額が変わってきます。この部分も円で記載されることが多いです。

これだけの項目をすべて管理しているなんですごいですよね。病院によって、ない部分もありますが、基本的にはこんな感じです。

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よくわからない医療費の領収書に書かれている「診察群分類」とは

入院医療費の包括評価は、急性期医療を担っている病院を対象に推進されています。
もちろん、労災や自費診療の場合は対象にはなりません。

診察群分類ってなんだ?と考えた時、図にしてみるとよくわかります。

引用:独立行政法人国立病院機構 まつもと医療センター

項目は病院によって異なります。

つまり、計算式は1日当たりの定額医療費×日数×医療機関別係数+出来高診療費+食事療養費=入院医療費となります。

なお、1日当たりの定額医療費の点数は厚生労働省が定めています。医療機関別係数は、医療機関の機能に応じて変わるので、どこも一緒、というわけではありません。
さらに、この1日の入院医療費に手術やリハビリ、といった費用を合算して出しています。

医療費が高くなっちゃうんじゃないの?と思いますが、計算式によって、従来よりも高くなる場合もあれば安くなる場合もあります。そして、高額療養費も今までと変わりはありません

私の場合は、乳がんの全摘出同時再建を行っています。

手術は90,977点、麻酔は23,096点となっていますね。

そして病理診断に2,510点、診断群分別包括評価料として43,207点が加算されています。

保険点数が合計160,420ですから、160,420×10×0.3=481,260、この金額が自費の部分になります。単純に計算すると、この手術では、1,604,200円もかかっているんですね!

ただし、私の場合は高額療養費を算定した後なので、一定額を超えた分は支払わなくてよく、このようになっています。

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領収書を詳しくしたのが、診療明細書

領収書だけでも、大体の金額を把握することができます。
何の薬をどのくらい投与したのか、この手術にはいったい何の薬が使われ、その価格はいくらなのか、ということがわかるようになっています。
つまり、手術であれば、自分の記憶がない時、何が行われていたのか、ということを把握することができるんです。

私の場合、中性脂肪の値が高いため内科にも通院しているのですが、その診療明細書には、「特定疾患療養管理料」として、225点、と書かれています。

窓口で支払うお金のほかに、自分が受けている医療に関して知ることができるので、ぜひ診療明細書にも目を向けてみましょう。
健康にも気を配れるようになりますね。