せっかく入学したのに、もしくは新しい学年になったのに子どもがなんとなく元気がない、ということがありますね。
新しい環境に慣れないのかな、学校でうまくいっていないのかな、など考えているうちに、いつの間にか学校を休むことが増え、不登校になってしまうこともあります。
今回は不登校とはなにか、入学や進級時期に起こりやすい子どもの変化と、不登校の兆候について経験をしたことを踏まえてお伝えします。
不登校とはどのような状況なのか
不登校、と聞くと「学校にいかれない子ども」ということが思い浮かびますね。
文部科学省が行っている「学校基本調査」などにおいて次のように定義されています。
何らかの心理的、情緒的、身体的あるいは社会的要因・背景により、登校しないあ
るいはしたくともできない状況にあるため年間 30日以上欠席した者のうち、病気や 経済的な理由による者を除いたもの
年間30日は、月に換算するとだいたい「2.5日」です。
月に換算してしまうと2日だけ?と思いますよね。義務教育においては、30日はさほど長い休みには感じませんが、
多くの全日制の高等学校の場合、「1つの教科につき、3分の1以上の欠席で単位を落とす」
ということが起こります。そして、1つでも単位を落としてしまうと進級できなくなってしまいます。
つまり、留年をするか退学をするか、という選択をしなくてはなりません。
子どもは何かしらの不登校前兆サインを出す
不登校という状態になる前に、子どもは何かしらのサインを出すことがあります。
子どもからのサインとして代表的なものには次のようなことがあげられます。
頭が痛い、お腹が痛いということが増える
4月という時期は、気候が安定していないため風邪なのかな、と思うことも多いです。
我が家の場合も私も含め子どももいわゆる「頭痛もち」。頭が痛い、という状況は本人でないとわからないため本当なのかウソなのか見分けるのが難しいことがあります。
ですが、頭が痛いと訴える時はたとえ頭痛もちでなくても、子どもは本当に「頭が痛くなっている」ことが多いです。
朝ごはんを食べない
朝ごはんを食べない子どもは増えています。この理由がダイエットのためとか、時間がない、といった理由だったらまだ良いのですが、
これが理由が見つからなかったり、「学校でトイレに行くのが嫌だ」と言う理由だったりするとちょっと注意をしたほうが良いです。
我が家の場合、「朝ご飯を食べると、学校でお腹が痛くなるから食べたくない」という理由を話していました。
「疲れた」という言葉をよく口にする
学校から帰ってくるとどの子どもでも疲れているものです。
ですが、表情が暗く「疲れた」と言う時や無気力な目をしている時、学校の話をしなくなった時は「心が疲れている」時でもあります。
「疲れている」ので、当然勉強もしなくなり宿題を慌ててやる様子も見られます。
昼夜が逆転し、朝起きられなくなる
学校に行きたくない、というキモチがあると朝が来るのが怖くなり、
「寝たら朝が来てしまう。だったら寝ないでおこう。」
「夜起きていたら、昼間寝ていられる。」
と思うようになります。現実逃避ですね。みんなが学校に行っている時間に自分が休んでいるというのは、決して気持ちの良いものではないんです。
逆に罪悪感があって、子どもなりにとても苦しんでいる状態です。
だから子どもは、学校がある時間は寝ていたいんですよね。
歯磨きをしない、お風呂に入らない、顔を洗わない
身支度を整える、ということを面倒になることがあります。これは心が疲れている、という状態からきているものです。
急に不機嫌になる
中学生や高校生の頃は思春期や反抗期と重なるので、急に不機嫌になることは多いです。
ですが、思春期や反抗期独特の不機嫌はエネルギーを感じるのですが、何かしらの悩みがある場合はどこか暗くて、不機嫌さの中にも「いつもと何か違う」と感じることができます。
不登校はいつ起こりやすいのか
連休明けや夏休みあけが多いように感じますが、入学時や進級時においても不登校は起こります。
入学時や進級時というのは子どもたちが1年間の中で緊張する期間で、この時期に友だち関係を構築しないと、後々までひびいてくる、ということを長い学校生活の中で身をもって感じているんです。
「最初が肝心」
ということを思っているようで、この時期に「しくじらないように」子どもたちは気を遣うようですね。
「自分は自分」と思える強さがあると良いのですが、なかなかそう思えないのがこの年代。
そのため本当の自分を少しセーブして、友だちとの関係を作っていき、結果としてそんな自分が嫌になったり、人間関係が面倒になったりしてしまいます。
人間関係が面倒になると、人と関わるのも面倒になり、「自分の時間」を作るようになって静かに誰とも関わらないで過ごしたい、と感じるようになります。
子どもの不登校サインは気が付かないものなのか
子どもが学校に行くのを渋ると、
「親なのに、気が付かなかったの?」と言われてしまうこともありますね。
ですが、たいていの場合親は気が付いています。
「なんだか変だな」
「この頃、痩せてきたな」
などと気が付いているのですが、これが不登校につながるとは想像できないんです。そして、そのサインがわかっても、もう少し様子を見てみよう、と思うことが多いです。
もう少し、もう少し、と思っているうちに子どもはどんどん学校に行くのを渋るので焦ってきます。
「なんで行かないの?」
「早く支度して、学校に行きなさい!」
と怒ったり、なだめたりするようになるのですが、この時点で子どもが、よし!頑張って学校に行こう!と思うのはなかなか難しいです。
不登校の前兆を見つけたらどうするか
学校に行きたくない、学校に行かれない、となった時、親は大変焦ります。このままじゃ将来的にもまずい、と考えるんですよね。
そのためなんとか理由を見つけようと必死になってしまいます。
「どうして学校に行きたくないの?」
「なんで、学校に行かないの!」
といった言葉をつい言ってしまうのですが、この言葉は、子どもにとって一番つらい言葉のようです。「いじめ」が原因の場合はしっかりと向き合うことが大切ですが、もしいじめが原因でない場合、子ども自身どうして学校に行かれないのかがわからないことがあります。
そして、学校に行かないことを責めない。
ですが、学校とは連絡を密にする。
この3つは、実際に行うとなると本当に難しいです。ですが、
学校で自分の場所が見つけられないのに、家でも居場所がなくなったら悲しいですよね。
なので安心して生活ができるよう、家族はいつも通り接するようにします。
* 学校にも意識が向くように、さりげなく学校の話題をしてみましょう。
不登校になると苦しいのは誰?
子どもが学校に行かなくなると、親はとても苦しくなります。
私も経験がありますが、自分がいけないんだ、と責めてしまうんですよね。
実際、「育て方が悪いんじゃないの?わがままに育てたの?」と言われたり、
学校の先生にも「今が大事なんです。家庭でもっと話し合ってください。」と言われたり。
学校に行かない子どもがいる、というだけで世間の目は大変厳しいものになります。
「どうしてうちの子どもはみんなのように学校に行かれないんだろう」と考えて泣いてしまうこともあります。
ですが、
一番辛いのは
「子ども」です。
子どもは「学校に行かなくてはならない」ということをわかっているのですが、「どうしても行かれない」「行きたくない」んです。
そして、そのことを家族が悲しんでいる、ということも理解していますし、将来に不安を感じてもいます。
一番辛いのは子どもなんだ、という風に考えると、その子のために何ができるかな、と前向きに考えることができますね。
わかった、休みなさい。とはなかなか言えない
子どもが学校に行くのを渋った時、「わかった。休みなさい」とはなかなか言えません。
嫌なことから逃げ出すのを親として認めて良いのか、辛いことから逃げさせて良いのか本当に悩みますよね。
ですが、子どもの様子を見ているとわがままで言っている時と、本当に困っている時と表情が違います。苦しんでいる時の表情は何とも言えないほど暗く、うつろで、妙に攻撃的になります。
このような様子を見ると、果たして無理やり学校に行かせるのが良いことなのか、という疑問が出てきます。
親として本当に悩むことなのですが、大切なのは、その子なりの「健康な心と体を取り戻すこと」「笑顔を取り戻すこと」。そのためには、親がある程度理解をし、親自身の心が元気でいなければなりません。
「大丈夫!」と自信をもって思えなくても、子どもの前では「大丈夫だからね!」と言える勇気を持ち合わせたいですね!