一昔前と異なって、ドラッグストアには様々な市販薬が並んでおり、気軽に購入できるようになりました。
薬剤師がいないと購入できないものもありますが、思春期の子供でも購入することができ、自分の症状に合わせて選ぶことができます。
厚生労働省の調査において、市販薬の依存性についての報告がされました。
その報告書によると、本来の目的ではない使い方をしている10代の子供が急増しているようです。今回はこの報告書をもとに考えてみたいと思います。
10代の子供が服用しやすい薬とは
だいたい15歳以上になると、大人と同じ薬が服用できるようになりますね。
そして子供自身、自分の体の状態をしっかりと伝えられるようになるので、
「風邪っぽいから風邪薬が欲しい」
「咳がでるから、咳止めかな?」
と考えられるようになり、自分で服用することが多くなります。
通常の目的で使用するのであればよいのですが、近年問題になっているのが、こういった薬の乱用。実は危険ドラッグなどの使用よりも多くなっているのです。
市販の風邪薬や咳止めなどを本来の目的ではなく、欲しがる場合は注意が必要です。
実際にどんな市販薬を10代の子供たちは欲しがるのか
厚生労働省の結果によると、本来の目的以外に使用されていた市販薬(2症例以上に認められた薬剤)は以下のようになります。
去痰薬・鎮咳
・トニン/新トニン…10症例
・カイゲン…2症例
・コンタック…10症例
・ベンザブロック…6症例
・ルル…5症例
・プレコール…2症例
・イブ/イブクイック…15症例
・バファリン…12症例
・セデス…6症例
・ロキソニン…6症例
・ノーシン…3症例
・ドリエル…12症例
・リスロン…4症例
10代の子供たちは決して快楽では使用していない
このような薬を使用した場合、遊び半分や興味半分で服用しているのではないかと感じますが、
実際のところ決して快楽では使用していないことがわかっています。
10代の思春期を迎えた子供たちが市販薬を服用するのは、
市販薬の多量摂取をやめても注意が必要
興味本位ではなく、
「この気持ちを何とかしよう」
「一時的でもいいから楽になりたい」
という理由で薬を服用していることが多いので、
10代、特に思春期の場合は、大人にとっては
「どうしてこんなこと気にするんだろう」
というような事でも、重大な問題としてとらえており、大変傷つきやすい年齢でもあります。
さらに、いわゆる「良い子」であると、親に心配をかけたくなくて、無理に笑っていたり平気なふりをしたりすることがあり、子供が悩んでいることを見落としてしまうこともあります。
無理やり薬の過剰摂取をやめても、根本的な解決にはなりません。
そのため子供が何か悩んでいないか、など様子を見て、市販薬の服用が多くなってきたら、市販薬の危険性について話す必要があります。
我が家の場合は、上記のような市販薬に依存したことはありませんでしたが、中学生のころお守りがわりとして
正露丸を持っていたことがありました。
ちょっとしたことでもすぐにお腹が痛くなるから持ち歩きたい、という理由です。実際に1週間のうち2度もしくは3度ほど服用した形跡がありました。もちろん、朝学校に行く前も服用していくことがありました。
薬の服用状況をチェックしてはいましたが、今思えば、これもなにかしらのSOSだったのだと思います。
事実、子供は自分自身で
「正露丸をいつも持ち歩くのは何かおかしい」と気が付き、ネットでいろいろと調べ、それが依存していることだとわかったため持ち歩くのをやめたようです。
大人もつい依存している
市販薬の乱用はしないまでも、大人もつい依存していることがあります。
たとえば滋養強壮剤。
朝、1本飲んでいくとなんとなく元気になるから、疲れが取れるからと服用してしまうことが多いですよね。
気が付くと毎日手を伸ばしていることも多いです。
ですが、毎日飲んでいると効き目があるのかないのかわからない状態になります。さらにもう一本。もしくはもっと効き目の強いものを。
そう思って服用していることがあります。
これも依存の一つ。
なぜ服用したいのだろう、と考えたとき、何とかしてこの体のだるさを解消したい、気分を高めたい、体力をつけて仕事に集中したいという理由のことが多いです。
子供もまた、市販薬に手を出してしまうのはこのような理由からです。
一時的にでも苦痛を解決したいと服用していることが多いので、まずは市販薬を大量に服用したことを責めるのではなく、その危険性について冷静に話をし、悩みを一緒に解決していくことが大切です。