ダイエットに興味を持ち始めるのは、小学校高学年から高校生にかけてです。
もちろん大人も興味はありますが、特に容姿が気になるのは思春期の頃。そして心が成長しきっていない時期でもあります。
そのため「ダイエットをする!」と決めた場合、「食べる量を減らす」と言う行動に出ることが多いんです。
ですが、この時期に無理なダイエットをしてしまうと「思春期やせ症」もしくは「神経性やせ症」、摂食障害を引き起こすことがあるので注意が必要となります。
子どもの摂食障害で多いのは、「思春期やせ症」
「思春期やせ症」は、拒食症、もしくは神経性やせ症、神経性無食欲症とも言われています。大きくとらえると「子どもの摂食障害」の1つとなります。
近年では思春期やせ症や拒食症という言葉よりも、神経性やせ症と呼ばれていることが多いです。神経性やせ症には、2つのパターンがあり、
* 食べるけれど、食べた後吐いたり、下剤を飲んだりしてしまう過食排出型(高校生に多い)
…があります。
少し前に「下剤を飲んで痩せる」という危険な行動が注目されたことがありますね。
神経性やせ症の基準は
神経性やせ症は、標準体重の-20%になってしまった場合、要注意となります。
子どもによっては小さい頃から小柄だったりするので、標準体重よりもどのくらい少ないか、ということの他に、急激な体重の減少ということがポイントになってきます。
学校に通っている場合、必ず健康診断が行われます。
学校では子どもの発達がどのくらいなのか、きちんと発達しているのか、ということをチェックしているので、心配な場合は学校に相談してみると良いでしょう。
神経性やせ症で起こることとは
思春期やせ症=神経性やせ症で起こることとしては、
* やる気がおきない
* 疲れやすくなっている
* 足がむくむ
* 低血圧、低体温
* 便秘
* 低身長
…などがあります。
体は栄養不足となっているので、このようなことが起こってくるんです。
思春期の摂食障害、何が原因になるのか
思春期の摂食障害である「神経性やせ症」の場合、
自分では「痩せている」とは思っていない
「痩せている」とは認めない
ということが一番のネックになります。
原因として考えられること
「神経性やせ症」の原因と考えられるのは、以下の通りです。
* ダイエットによって、食事をするのが怖くなった
* 風邪をひいて食欲がなくなり体重が減少した
* 学校生活の中でうまくいかないことがあり、ストレスを感じている
* 恋愛がうまくいっていない
思春期においては、悩みごとが多く日常的にストレスを感じている状態です。
そういった時にたまたまダイエットに目が行き、ダイエットをして成功したことによって、友達に褒められ、さらに無理なダイエットをしてしまう…という負のスパイラルに陥ってしまうことがあります。
「やった!痩せた!」という達成感が影響していることもあるんです。
家族の接し方だけが原因ではない
子どもが痩せてくると、親が悪いのではないか、きちんと食べさせていないのでは?と思われることがありますね。
文献によっては、母親の過干渉やほったらかし、父親の存在感がない、といったことも影響していると書かれていますが、
こういったことが思春期における摂食障害の原因、という科学的根拠はありません。
「神経性やせ症」になりやすい子どものタイプとは
ダイエットを継続して行うのは、大人でも至難の業ですよね。
これをしっかりと行っている子どもは、本当に意思の強い子どもですよね。
神経性やせ症になりやすい子どものタイプ
* 人にあまり弱音を吐かない
* 自己主張が苦手
* 努力家でまじめ
* 他の人の目が気になる
* 自分のことを頑張っている、となかなか認められない
家族の接し方で気を付ける点とは
子どもがダイエットをしているかどうかは、食事の仕方でわかることがあります。
ですが子どもの中には親に心配をかけさせたくなくて、もしくは知られたくなくて「食べたふり」をする子どももいます。
神経性やせ症のサインとは
神経性やせ症のサイン
* 食事をあまりしていないにも関わらず、体を動かしていることが多くなった
* 出された食事の中で、これは食べない、などと分けることがある
* 極端に体重が減ってきた
* 急に寒がりになった
* 月経が来ている様子がない
極端にダイエットをしている場合、顔色も悪くなりなんとなく具合が悪いのではないか、と感じます。
家族の接し方
まず大切なのは、
食べないことを責めない
無理に食べさせない
ということです。
子どもはダイエットに夢中で、痩せていることが良いこと、まだまだ自分は痩せることができると思っているからです。
もしくは、食べたくても食べられない、という状況になっている場合もあります。
「顔色が悪いよ」とか「肌が乾燥してきたんじゃない?」など、体重とは結びつけないで話を切り出すのが大切です。
子どもや自分を責めるのではなく、「何が原因なのかな?」と考えながら子どもの様子を見るようにします。
そして、子どものちょっとした話にも耳を傾けるのが大切です。
子どもの摂食障害はどう進んでいくか
子どもの摂食障害の場合、
拒食期(食べることを否認)➡過食期(自分で気づく)➡安定期(回復)
と進みます。
過食期の初期においては、自分で気が付いて食べるようになりますが、まだまだ痩せることへの気持ちが強く葛藤している状態で、親に反抗的な態度をとることもあります。
この時期は、様々な人との信頼関係を結び、自分はいろいろな人に支えられて守られている、ということを認識するのが大切であるので、イライラした態度を見せても「食べないからこんな風になるんだよ!」などと言葉にしないように気を付けます。
後期になると自分でもさらに自覚し、覚悟をするのでさらに食べるようになります。それと同時に体重も増えていきます。
神経性やせ症は自分だけでは治せない
一度神経性やせ症になると、なかなか自分から治そうとは思えません。なぜなら「痩せることは悪いことではない」という意識がどこかにあるからです。
そして、親が「食べないと体を悪くするよ」と言っても、思春期においてはなかなか言うことを聞かないことがあります。
こういった時には、校内にいるカウンセラーや養護教諭に相談してみましょう。子どもの様子を見て話をしてくれますし、必要に応じて病院を紹介してくれることもあります。
焦らないで見守っていこう
神経性やせ症の場合、すぐに治る、というわけではありません。急激な体重減少が起きると、体の変化に子どもは気づき始めますが、自分で意識しようとしてもなかなか思うようにいかないこともあります。
そして親も「何とかして食べさせなくちゃ」と思ってしまいますし、安定期になっても時に、食べたくない、吐いてしまうということが見られます。
ですので、焦らないことが大切になってきます。
そういった焦っている気持ちは子どもにも伝わるので、一緒に解決していこう、という姿勢を示すようにしましょう。